FXによる借金でも自己破産は可能?借金免除が認められないケースも?

司法書士法人ホワイトリーガル

こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆している司法書士の久我山左近です。

インターネット上には、FXや株式などの投資が原因の借金だと自己破産ができないという書き込みがありますが、本当のところはどうなんでしょうか?

今回の記事では、FXなどの投資が原因の場合に自己破産の手続きにどんな支障があるのでしょうか?また、その場合の対処法について借金問題に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
今回の記事を読むと、自己破産とFXなどの投資との関係について正しい知識を身に付けることができますので、ぜひ最後までお読みください。

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目次

自己破産でのFXや株式などの投資が原因の借金の取り扱いを詳しく解説!

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FXで作った借金に関しては、インターネット上でも自己破産できないといった書き込みがありますが、本当はどうなんでしょうか?確かに、Twitterなどで調べてみてもFXでの借金は自己破産できないと書かれていることが多くあります。
自己破産とは国が認めた借金の減額制度で、債務整理の一つになり、すべての借金の返済義務をなくすことができる手続きです。
自己破産の制度上は、FXや株式のように投資目的で借金をした場合は自己破産が出来ないはずですが、実務上は自己破産が認められるケースがほとんどです。

今回の記事では、FXなどの投資が原因の場合に自己破産の手続きにどんな支障があるのでしょうか?また、その場合の対処法について借金問題に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

FXで作った借金も自己破産でなくすことができるのか?

FXや株式の投資が原因の借金は自己破産の「免責不許可事由」に当たりますので、自己破産の制度上はFXで作った借金は自己破産で借金の免除が受けられないことになります。

免責不許可事由」とは
自己破産による借金の免除が認められない理由や行為のことで、ギャンブルや投資によって借金を作った場合や破産手続きにおいて財産を隠すなどが「免責不許可事由」に当たります。
FX取引は、競馬やパチンコなどのギャンブルと同様に射幸行為「しゃこうこうい」の一つとして免責不許可事由とみなされます。

FX取引は市場の価格変動を予測して通貨の売買をすることになりますが、価格変動を予測することは実際には難しいので、ギャンブル性が高いと判断されています。

実務上では裁量免責が認められるケースが多くあります。

FXが原因で借金を作ったことは免責不許可事由に当たりますが、実務上では自己破産で借金の免除が認められるのがほとんどになります。この理由は「裁量免責」という制度によります。

裁量免責」とは
免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判官が事情を考慮した上で借金の免責を許可できるという制度になります。
借金の理由がFXなどの投機目的であっても、ご自身の生活再建に向けて2度と同じことを繰り返さないという姿勢を裁判官に示すことができれば、裁量免責が認められるケースが多くあります。

自己破産が可能だとしても基本的に管財事件になります。

FX投資が原因による借金の自己破産でも借金の免除が認められるケースが多くありますが、ほぼ確実に管財事件として取り扱われますので注意が必要になります。

管財事件」とは
自己破産の手続きの一種で、不動産などの一定以上価値がある財産を所有している場合には、この管財事件が選択されます。
また、免責不許可事由に該当する場合にも管財事件になるケースがあり、管財事件においては破産者の財産の調査や管理、また借金の理由などについて細かく調査するために裁判所から破産管財人が選任されます。

管財事件になると、通常は1万円程度で済む裁判所に収める費用が最低でも20万円、裁判所によっては50万円程度必要になることもあります。

FXによる借金で自己破産が認められないケース

まず、自己破産の手続きを始めてからFXで取り引きをしていたら免責を受けられなくなります。
前述した自己破産における裁量免責は、裁判官の情状酌量によりますので、自己破産の手続き中にFXを再開するような行為は反省の色がみえないとして免責が下りなくなる可能性が非常に高くなります。

自己破産の手続きで財産を調査する破産管財人は、お金の動きを細かくチェックするので必ずバレてしまいます。
ちゃんと反省して、免責の許可が下りるまではお金の使い道に気をつける必要があります。

過去にFXや株式投資が原因で自己破産をしている場合

もし過去に自己破産をしている場合に、その自己破産の原因も同じくFXや株式などの射幸行為であった場合には免責が認められない可能性があります。過去にも同じ原因で自己破産をしていた場合には、反省していないとみなされて裁判官からの裁量免責が認めららない可能性が高くなります。

その他の免責不許可事由がある場合

また、自己破産をして保証人に迷惑をかけたくないという理由から、保証人が付いている借金だけを優先的に支払ってしまうと自己破産での免責不許可事由に該当してしまいます。
また、自動車を手放したくないという理由から自動車ローンを先に支払ってしまうのも同じ行為になります。
こうした特定の債権者を優遇する行為を偏頗弁済「へんぱべんさい」のいい免責不許可事由の一つになります。

また、他にも以下のような行為が発覚すると免責が許可されません。

  • 財産価値を下げる目的での故意による破損
  • 財産隠し(財産を他人名義に変更したり高額のタンス貯金をする)
  • 破産管財人や裁判所に対して虚偽の報告を行う
  • 破産管財人や裁判所に対して非協力的な姿勢をとる

自己破産では借金の返済義務を帳消しにしてもらう代わりに、債権者に対してご自身が所有する財産は配分しないといけませんし、裁判所での自己破産手続きに協力しないと免責が認められなくなる場合があります。

自己破産でFX口座の残高は没収される可能性があります。

自己破産の手続きによってFX口座そのものが解約されることはありませんが、FX口座に残高が20万円以上残っていた場合は残高を没収された上に口座を解約されるケースもあります。

自己破産後にFX口座の新たな開設は可能です。

自己破産をの手続きを取るとブラックリストに登録されて、しばらくの期間は新たなローンやクレジットカードの利用ができなくなりますが、FXの口座を作ることに影響はありません。
しかし、自己破産をした後にFXを再び始めることは基本的にはお勧めできません。
何より一度は痛い目に合っていますので、自己破産をした後はしっかりと反省してすっぱりとFXなどの投資からは縁を切る覚悟をいたしましょう。

FXによる借金の自己破産における注意点を解説します。

FXによる借金でも自己破産で帳消しにすることが可能ですが、いくつかの注意点があります。
まず、自己破産の手続きをする上では、自己破産の申し立て前の2年間分のFX口座の取引履歴を提出する必要があります。
また、解約済みであってもそのFX口座の履歴も開示する必要があります。

裁量免責を受けるために反省文が必要になります。

これまで解説をしてきましたが、FXによる借金でも裁量免責によって自己破産で借金が免責されるケースが多くありますが、FXなどの射幸行為による借金は本来であれば免責不許可事由に当たります。
そのために、しっかりと反省をして2度と同じ過ちを繰り返さないということを証明するために、裁判所から反省文の提出を求められるケースがありますので、その対応をする必要があります。

具体的な反省文には以下のような内容を記述する必要があります。

  • 借金の理由と自己破産に至った詳しい経緯
  • 現在の生活や収入の状況について
  • 今後同じことを繰り返さないための具体的な計画
  • 生活を立て直すための決意

今回のコラムでの解説でも理解できると思いますが、FXによる借金を自己破産で解決しようと思ったら必ず専門家に相談する必要があります。FXによる借金は免責不許可事由に当たりますので、ほぼ確実に管財事件になり複雑な手続きが必要になります。

どうでしょう!今回のブログ「FXによる借金でも自己破産は可能?借金免除が認められないケースも?」というテーマの解説は以上になります。

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カワウソ竹千代

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久我山左近

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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