任意整理とは？任意整理の内容や特徴、またメリットなども解説！

2024年12月26日

こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆している司法書士の久我山左近です。

任意整理とは、債務整理手続きの中の一種で、ご自身の代理人である弁護士または司法書士が、相手の業者と交渉して、今後の利息を見直して、月々の返済額を減額して負担を軽くする手続きになります。
また、任意整理は債務整理とも呼ばれていて、よく知られた借金解決の手続きになりますが、任意整理のデメリットや手続きの方法や流れなど、任意整理の手続きについて気になる読者の方も多いのではないでしょうか。

今回のブログでは、任意整理の手続きの流れや内容、またメリットやデメリットについても司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。
ぜひ、今回の記事を読んでいただき、任意整理に関する基本的な知識を身に付けていただきたいと思います。

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任意整理は債務整理とも呼ばれる１番ポピュラーな借金解決方法です。

ここからは、任意整理の手続きの内容や条件、任意整理をすべき基準について詳しく解説いたします。

任意整理の手続きについて解説します。

任意整理とは、弁護士または司法書士がご自身の代理人となり、お金を貸した相手の業者と交渉をして、今後の利息をカットして、月々の返済の負担を軽くする手続きのことです。

任意整理の例を挙げますと、ご自身に２００万円のリボ払いがある場合のシミュレーションで３年で返済する場合の月々の返済額は約７万円になり、完済までに支払う利息の合計は約５０万円にもなります。
これを任意整理すると月々の返済額は約３万３千円まで減額され、完済までに支払う利息の合計はもちろんゼロ円になりますので、任意整理での借金の減額効果がよく理解できると思います。

任意整理の条件を詳しく解説します。

また、任意整理の手続きをするにはいくつかの条件があります。
まず、任意整理は返済型の解決方法で、任意整理後も返済が続くため、返済のための収入源がないと相手の業者との交渉が難しくなります。
アルバイトやパートの方、年金受給者、専業主婦でも返済するための根拠があれば手続きはできますが、無職や生活保護だと応じてもらえない可能性があります。

次の条件が、借り入れから最低でも１年程度以上は返済していることが挙げられます。
借り入れからほとんど返済をしたいない状況だと、相手の業者もまったく利息を受け取っていませんので、任意整理の交渉に応じてもらえない可能性があります。

最後の条件になりますが、借り入れをした業者が任意整理の交渉に応じてくれることも条件になります。
読者の皆様も知っているような大手の業者であれば、問題なく任意整理の交渉に応じていただけますが、街金と呼ばれる地域密着の金融業者の中には、初めから任意整理に応じてくれない業者もあります。

任意整理をすべき基準を解説します。

まず、現在の借金を返済するために、新たな借り入れ、または返済した枠をすぐに借り入れてしまう方は、任意整理での解決を検討するべきと言えるでしょう。
また、クレジットカードの返済方法をリボ払いに設定している方も任意整理がお勧めの解決方法になります。

借金の返済を数年続けていて、完済に至ってない方に関しても自力での返済は難しいと思われますので、任意整理での解決がお勧めの方法になります。

任意整理のメリットを詳しく解説します。

以下が任意整理のメリットになりますので、それぞれを解説いたします。

将来利息がカットされ支払いの負担が減ります。
今の支払いやしつこい督促が止まります。
裁判所を通さず手続きが簡単です。
会社や友人だけでなく家族にも知られません。
不動産や自動車などの財産を残せます。
ローン返済中の家や車を失わなずに済みます。
任意整理は保証人に迷惑をかけません。
毎月の支払いが一本化できます。
過払い金があれば借金を減額または完済できます。

⒈ 将来利息がカットされ支払いの負担が減ります。

任意整理の大きなメリットは、将来の利息がカットされることで、月々の支払いの負担が減る点になります。

⒉ 今の支払いやしつこい督促が止まります。

借金の返済を求める債権者からの電話や手紙の督促は、受け取る側にとって大きなストレスとなりますが、任意整理で弁護士や司法書士が間に入ることで、これらの直接的な督促が停止しますので、精神的な安心感を得られます。
また、今までしていた毎月の厳しい返済もストップすることが出来ますので、この間にご自身の生活を立て直すことが可能になります。

⒊ 裁判所を通さず手続きが簡単です。

債務整理の手続きには、任意整理の他に、個人再生と自己破産という２つの手続きがありますが、任意整理の大きな特徴は、この個人再生や自己破産と違って、裁判所を通さない点になります。
個人再生や自己破産の場合、裁判所に申し立てる必要があり、提出する書類を準備するのにも手間と時間がかかります。
また、任意整理よりも厳格な手続きであるため、認められるための条件も厳しくなります。

一方で、任意整理の手続きは裁判所を通さないため、手続きも簡単で、期間も短く、手軽な点が大きなメリットです。

⒋ 会社や友人だけでなく家族にも知られません。

任意整理の大きなメリットは、会社や友人のみならず、同居している家族にも知られにくいという点になります。
個人再生や自己破産に関しては、申し立てする上で、多くの必要書類を集めなければならず、家族の協力が必要になりますが、任意整理の手続きではそうした作業がありませんので、会社や友人だけでなく、同居している家族にも秘密にして任意整理の手続きをすることが可能です。

⒌ 不動産や自動車などの財産を残せます。

任意整理は、自己破産のように手続きをすると強制的に財産を没収されるといったデメリットはありません。
自己破産の場合は、マイホームや自動車、今までかけてきた生命保険などの財産を失う可能性がありますが、任意整理ならこうした財産を失うことなく、手続きすることが可能です。

⒍ ローン返済中の家や車を失わなずに済みます。

ローン返済中のマイホームや自動車は、毎月の支払いを滞納したり、個人再生や自己破産の手続きの対象になると、マイホームや自動車を担保として金融機関などに処分されてしまいます。
その点、任意整理は手続きをする債務を選択することが出来ますので、住宅ローンや自動車ローンが付いている借金を除くことで、マイホームや自動車をお手元に残すことが可能になります。

⒎ 任意整理は保証人に迷惑をかけません。

個人再生や自己破産は、借金の総額を大きく減額したりゼロにできるというメリットがありますが、すべての借金が対象になりますので、手続きをすると連帯保証人に対して請求が行くことになります。
その点、任意整理は手続きをする借金を選択することが出来ますので、保証人が付いている借金を除くことで、保証人に迷惑をかけなくても済みます。

⒏ 毎月の支払いが一本化できます。

複数借り入れがある場合に、支払いが一本化できるというのも、任意整理のメリットの１つになります。
任意整理をした場合の各社への返済は、返済代行といって任意整理を依頼した事務所を経由で各業者への支払いをすることが可能です。
任意整理で借金を減額した上で、支払う先を一本化できれば、管理の手間がかかりませんし、支払い忘れといったリスクも防ぐことができます。

⒐ 過払い金があれば借金を減額または完済できます。

任意整理をする場合に、もし過払い金が発生していれば、その請求もセットで依頼することができます。
過払い金とは、わかりやすく言えば、払い過ぎてしまった利息を返してもらうことです。

借金を返済中の人は、発生している過払い金を借金の今までの返済に充てることが出来ますので、元金自体を大きく減額できる可能性があります。
また、すでに完済済であれば、過払い金が手元に戻ってくるかもしれませんので、過払い金が気になる人は、任意整理とセットで過払い金の調査も依頼することをお勧めいたします。

任意整理のデメリットを詳しく解説します。

任意整理はメリットが多いですが、もちろんデメリットもあります。
以下が任意整理のデメリットになりますので、それぞれを解説いたします。

減額できるのは利息のカットのみで元本は減りません。
中には月々の返済額が増えるケースがある。
任意整理の費用が高額な事務所がある。
5年程度は新たなクレジットカードやローンが利用できません。
任意整理に応じない業者がいる。
収入がないと任意整理できない場合がある。
銀行口座が一時的に凍結されます。
税金などは任意整理できない場合がある。

⒈ 減額できるのは利息のカットのみで元本は減りません。

任意整理の手続きでは、和解契約後から完済までの利息がカットできます。
裏を返せば、利息のカットしかできないため、他の個人再生や自己破産と比べると借金の減額効果は小さいと言えるでしょう。
個人再生は借金の総額を約５分の１まで減額、自己破産はすべての借金をゼロに、これらの手続きと比較すると元金を返済する手続きである任意整理は減額効果が小さいので、ご自身が抱えている借金が大きくなってしまうと、任意整理後の月々の返済額も大きくなりますので、現実的に任意整理では返済自体が難しくなることがあります。

⒉ 中には月々の返済額が増えるケースがある。

任意整理をすることで、今までの返済より、毎月の返済額が増えてしまうケースもあります。
任意整理の手続きをする相手の業者が、借り入れをしたばかりのようなケースだと、長期の分割での和解契約の締結は難しくなりますし、また将来利息のカットにも応じない場合があります。
こうなってしまうと、手続き後の利息こそ少し低くなる可能性はありますが、月々の返済額は今よりも上がってしまいますので、任意整理の手続きをしない方がいいという選択肢もあります。

ここでの結論になりますが、借りてからすぐの任意整理に大きなメリットはありませんので、裁判所で強制的に減額が可能な個人再生または自己破産での解決がお勧めになります。

⒊ 任意整理の費用が高額な事務所がある。

任意整理の手続きをお願いする上で、とても費用が高額な事務所があることも大きなデメリットになります。
任意整理の手続き費用は、１社あたり４万円程度という最低金額はありますが、最近では借入金額に対していくらの費用というように、借入金額に応じて費用を決めている事務所が多くなっています。
例えば１００万円の借金を任意整理する場合、１社あたり４万円の事務所と１００万円に対して１０万円の費用がかかる事務所だと、同じ手続きなの任意整理の費用は２倍以上かかるということになります。

例を挙げますと、当事務所で３社、それぞれ１００万円の借金の手続き費用は１３万２千円（税込）のみになりますが、任意整理の費用が高い事務所だと、おそらくですが３０万円〜４０万円程度になります。
任意整理の手続きを依頼する場合は、必ず事前の費用のお見積もりをお願いいたしましょう。また、この見積もり以外に費用がかからないかも事前に確認しておきましょう！

⒋ 5年程度は新たなクレジットカードやローンが利用できません。

任意整理を含む債務整理の大きなデメリットは、手続きをすることでいわゆるブラックリストに載ってしまう点になります。
ブラックリストとは、借金の滞納履歴や債務整理の経験などの信用情報機関に記録されることを言います。

信用情報は、借金などの支払い情報のことで、新たなローンやクレジットカードの審査の際にも参照とされる重要な情報になります。
もっとも任意整理の記録が永久にブラックリストに載っている訳ではなく、任意整理後の完済から５年が経過すれば、また新たなクレジットカードやローンなどが利用できるようになります。
ただし、借金の返済を２ヶ月以上滞納すると、任意整理したのと同じようにブラックリストに登録されますので、何度も返済を滞納するよりも任意整理をして借金を減額してしまった方が早くブラックリストからも削除されます。

⒌ 任意整理に応じない業者がいる。

任意整理のデメリットの１つは、相手の業者が応じてくれないと和解できない点も挙げられます。
基本的には、任意整理に応じてくれる業者がほとんどになりますが、中には方針として任意整理に応じないと決めている業者もあります。
業者が応じずに任意整理ができない場合は、その業者以外での任意整理を検討するか、裁判所の許可で強制的に減額や免除ができる個人再生や自己破産を検討いたしましょう。

⒍ 収入がないと任意整理できない場合がある。

任意整理の手続きは返済型の解決方法になりますので、収入がない残念ながら任意整理ができない可能性が高くなります。
また、任意整理の手続きでは、依頼人から事務所への毎月の返済額がしっかり入金されているかを確認しながら、相手の債権者と今後の返済に関して交渉をしていきます。
任意整理の手続き後は、減額した借金の返済が長く続くため、安定した収入や継続的に返済できることが重要になります。
なお、収入源に関してはご自身のものでなくても、例えばご主人のお給料からでも支払れば任意整理が可能になります。

⒎ 銀行口座が一時的に凍結されます。

これは任意整理に限りませんが、債務整理を開始すると手続きに関係している銀行口座が凍結されるケースがあります。
銀行口座が凍結されるのは、銀行から借り入れている借金を任意整理した場合になります。
そして、銀行口座が凍結されてしまうと、その口座からの引き落としや振り込み、入金、出金などが出来なくなります。
ですから、凍結が考えられる銀行口座がご自身のお給料の振り込み口座になっている場合は、事前にお給料の振り込み口座の変更をしてから任意整理の手続きを進めることになります。

⒏ 税金などは任意整理できない場合がある。

任意整理の手続きでは交渉で利息をカットできますが、中には任意整理の手続きが出来ないものや、任意整理するメリットがないものもあります。
まず、税金、保険などの国に対する債務に関しては任意整理の手続き自体が出来ません。
また、奨学金や銀行の教育ローンなどはもともと金利が低く返済期間が長いので、任意整理で減額の交渉をするメリットがありません。

それでは、今回のブログ「任意整理とは？任意整理の内容や特徴、またメリットなども解説！」というテーマについての解説は以上となります。

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