こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆する司法書士の久我山左近です。
先生!相続税には、配偶者控除という税金を節約する方法があるって聞いたんだけど、どんな制度なのかな?
配偶者控除は、1億6千万円までの相続財産の相続税が、なんと無税になるという、とても大きな優遇制度なんじゃ!
大きな節税効果がある制度なんだけど、使わない方がいいケースもあるって聞いたんだけど?
そうなんじゃ!配偶者控除を利用する場合は、次の相続のことも考えてから、この制度の利用を考える必要があるんじゃ!
配偶者控除とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者の生活を守るためには、なくてはならない制度になります。
しかし目先の相続税にとらわれて後の相続を考えずに配偶者控除を使用してしまうと、本来払わなくてもよい税金を払うことになってしまうケースがあります。
今回の記事では、配偶者控除の要件や配偶者控除を適用する場合の注意点などを相続に詳しい司法書士の久我山左近が解説いたしますので、しっかりと配偶者控除を理解して上手に相続税の節税をいたしましょう。
ぜひ、今回の記事を最後まで読んでいただき、配偶者控除に関する基本的な知識を身に付けていただきたいと思います。
お友達登録するだけで相続のお悩みが解決できる!相続お悩みLINE相談!
配偶者控除について!相続税に詳しい久我山左近がわかりやすく解説します。
相続税の配偶者控除とは、亡くなった方(被相続)の配偶者が相続した相続財産のうち、相続税の課税対象となるものが1億6千万円までであれば相続税が課税されないという制度になります。
また1億6千万円を超えていても配偶者の法定相続分までであれば相続税は課税されないという制度になります。
ここでいう法定相続分とは、民法で定められた相続財産を分割する割り合いのことです。
法定相続分については以前のブログ「法定相続分とは?相続に詳しい司法書士がわかりやすく解説します!」で詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧になってください。
それでは、ここでは法定相続分に関して簡単な説明をいたします。
相続において配偶者の法定相続分は、配偶者のみが相続人である場合の法定相続分はすべてになります。
次に配偶者と子供が相続人である場合の法定相続分は配偶者が2分の1で子供が2分の1になります。
また、配偶者と亡くなった方の親が相続人である場合の法定相続分は配偶者が3分の2で親が3分の1になります。
最後に配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人である場合の法定相続分は配偶者が4分の3で兄弟姉妹が4分の1となります。
相続において配偶者が引き継いだ相続財産が1億6千万円以内、または上記の法定相続分以内であれば相続税は課税されないという制度が相続税の配偶者控除ということになります。
次に相続税の申告で配偶者控除を適用するための要件を解説します!
相続税の配偶者控除を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。
- 亡くなった方(被相続人)の戸籍上の配偶者であること
- 相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了していること
- 相続税の申告書を税務署に提出すること
「亡くなった方(被相続人)の戸籍上の配偶者であること」とは、相続税の配偶者控除を受けるためには一緒に生活をしているといった見かけ上の関係ではなく戸籍上の配偶者でなければなりません。
なお、配偶者控除を受ける要件として婚姻期間については定められていませんので、婚姻期間が1ヶ月でも20年であっても相続税の配偶者控除を受けることが可能です。
しかし前述したように籍を入れてない状態では配偶者控除を認められません。
そのため内縁の妻などは戸籍上の配偶者には当たらないので相続税の配偶者控除を受けることはできません。
「相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了していること」とは、相続税の配偶者控除を受けるためには相続人全員で遺産分割について話し合いが確定している必要があります。
相続人全員で遺産分割について話し合うことを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議をしていなかったり遺産の分け方が決まっていなければ、配偶者が引き継ぐ相続財産が特定されませんので配偶者控除を受けることができません。
相続税の申告は被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に申告しなければなりません。
相続税の配偶者控除を受ける場合にはその点も注意が必要になります。
最後の「相続税の申告書を税務署に提出すること」とは、相続税の配偶者控除を受けるためには、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。
仮に配偶者控除を受けると相続税が0円になるようなケースでも相続税の申告をしなければ配偶者控除を受けることは出来ません。
実際に例を挙げて相続税の配偶者控除を受ける場合の注意点を解説します!
まず、相続税の配偶者控除を受けると1億6千万円または配偶者の法定相続分まである配偶者控除の枠を最大限に活用すると、配偶者自身の相続税の負担額は必ず0円にできます。
しかし、目先のことにとらわれて配偶者控除を利用すると、場合によっては子供にかかる相続税の負担が重くなることがあります。
前述のように配偶者が多くの相続財産をを引き継いでも、その後に配偶者が亡くなった時には、その相続財産は子供が相続して相続税を納めなければなりません。
しかし、この時には配偶者控除を利用することは出来ません!
このように相続の後に相次いで発生する2番目の相続のことを「二次相続」と呼びます。
それでは、二次相続において子供にかかる相続税について例を挙げて解説いたします。
まず、夫が亡くなり2億円の相続財産を妻と子供が相続するケースで考えてみましょう。
相続人が2人の場合の相続税の基礎控除額は4,200万円になりますので、相続税の課税遺産総額は1億5,800万円になります。
相続税の配偶者控除をフルに利用して妻がすべての相続財産を引き継いだ場合の課税遺産総額は1億6千万円を下回っていますので配偶者である妻に対して相続税はかかりません。
子供も相続財産を何も引き継いでいませんので、今回の相続では相続税がかからず、一次相続における相続税額は0円となります。
しかし、その後に妻が亡くなった時には二次相続において子供が同じ相続財産の2億円を相続したとしましょう。
二次相続において相続人が1人の場合の基礎控除額は3,600万円になりますので、1億6,400万円の相続財産に対して相続税が課税されます。そして、その税額を計算すると4,860万円になります。
このケースで配偶者控除をフルに利用した場合に、一次相続と二次相続を通して課税される相続税額は4,860万円ということになります。
次に配偶者控除を二次相続まで考慮して適用した場合を解説いたします。
前述したケースと同じ状況で配偶者控除を的確にに利用した場合にかかる相続税を計算いたします。
まず、一次相続においては法定相続分通りに相続財産を引き継いだ場合には妻と子供はそれぞれ1億円ずつの相続財産を引き継ぐことになります。
相続税の基礎控除である4,200万円を差し引いた課税遺産としては、妻の子供のそれぞれが7,900万円ずつということになります。
もちろん、妻について配偶者控除を利用すれば妻の相続税は0円になります。
そして、子供には7,900万円の課税遺産に対して1,670万円の相続税がかかることになります。
前述の一次相続ではかからなかった相続税が今回のケースでは1,670万円を納税することになります。
そして、今回も二次相続が発生しますが、前回は2億円だった相続財産はすでに半分を相続していますので、子供が相続する遺産は1億円ということになります。そして、相続税の基礎控除の3,600万円を差し引いた6,400万円の遺産に対して1,220万円の相続税がかかります。
この場合は、一次相続の納税額の1,670万円と二次相続の納税額の1,220万円を足してトータルの相続税額は2,890万円となります。
両方のケースを見ていくことでもわかるように、配偶者控除をフルに利用した場合よりも配偶者控除を的確に利用することによりトータルでかかる相続税が1,970万円も節税できることになります。
目先のことにとらわれて配偶者控除を積極的に利用することで相続税の節税効果は絶大になりますが、二次相続が発生した場合には子供に重い相続税の負担がかかる場合があるので細心の注意が必要になります。
どうでしょうか?的確に配偶者控除を利用することで大きな節税効果あることが理解できたと思います。
当サイトを運営する司法書士法人ホワイトリーガルでは、相続税の節税対策についての無料相談だけでなく、家族信託や遺言書作成など相続に関連するお悩みについても無料でご相談することができます。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用していただきたいと思います。
ここまでで、今回のブログ「法定相続分とは?相続に詳しい久我山左近がわかりやすく解説します!」のテーマの解説は以上になります。
相続の手続きでのお悩みについては、お気軽に当事務所までご相談をしてくださいね。
それでは、司法書士の久我山左近でした。