こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
相続が発生して、被相続人に遺言書がある場合は、原則として、その遺言書に従って相続財産を分割いたします。
このことを遺言執行手続きと言いますが、遺言執行は決められた流れに沿って行われるのが一般的です。
そして、遺言執行を行う人のことを「遺言執行者」といいます。
遺言執行者がいなければ遺産分割ができないというわけではありませんが、選任することによって遺言執行がスムーズに進むなどのメリットが期待できます。
今回の記事では、遺言執行の流れとともに、遺言執行者を選任することのメリットについて、司法書士に久我山左近が詳しく解説いたします。
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遺言執行者を選任するメリットについて詳しく解説いたします!
遺言執行の主な流れ
遺言書は、遺言者が亡くなった時点で、その効力を発揮いたします。
もし、遺言書に遺言執行者が指名されていた場合は、その人が遺言執行者に就任し、速やかに遺言執行の手続きを進めます。
遺言執行の主な流れは以下のとおりです。
- 遺言執行者に就任したことと遺言の内容を相続人に通知する
- 相続財産目録を作成し相続人に交付する
- 遺言書にそって財産を分割する
- 遺言執行の完了を相続人に報告する
1.遺言執行者に就任したことと遺言の内容を相続人に通知する
遺言執行者は、最初に遺言執行人の任務に就いたことと、遺言書の内容を相続人全員に通知します。
これは民法によって義務付けられているため、遺言執行者にとっては必須の作業です。
通知する際は、文書と共に遺言書のコピーを添付いたしましょう。
2.相続財産目録を作成し相続人に交付する
相続財産目録とは、財産調査をもとに、故人の財産内容を種類別に一覧にまとめたもののことです。
故人の財産調査では、プラスとマイナスの財産を全て調べますが、相続財産目録にも両方の財産を掲載します。
裁判所のホームページでは相続財産目録の書式を公開していますので、どのように作成するのかをイメージするのに役立つでしょう。
・参照:相続財産目録(書式6|裁判所)
なお、作成した相続財産目録は、相続人全員に交付いたします。
3.遺言書にそって財産を分割する
相続財産目録を作成したら、遺言書通りに遺産分割できるように分割方法や相続分を決めます。
分割方法が不公平すぎるなど遺言の内容によってはそのとおりにするのが難しいケースもあるでしょう。
その場合は、相続人全員と遺言執行者が同意したうえで変更します。
4.遺言執行の完了を相続人に報告する
遺言執行が全て終わったら、相続人に完了したことを伝えます。
報告のやり方については特に決まりはありませんが、文書で通知するのが通例になります。
遺言執行者は何をする人?
遺言執行者は、遺言の執行を目的として活動する人のことです。
遺言執行者には、遺言執行を円滑に進めるために、さまざまな権限が与えられています。
遺贈の履行
相続する権利はないものの、遺言書に遺産を引き継ぐと指名された人のことを受遺者といいます。
遺言執行者は、受遺者に対する遺産の引き渡しに必要な手続きなどを行うことが可能です。
例えば、不動産を遺贈する場合は、執行者が法務局にて相続登記の手続きを行います。
遺言認知の手続き
生前していなかった子の認知を望む旨が遺言書に書かれていた場合は、認知の手続きをします。
これができるのは、遺言執行者のみで、遺言執行者は就任した日より10日以内に認知の届出を行います。
相続人廃除
相続人廃除とは、故人に対して生前虐待をしていたなどの暴力行為をしていた相続人に対して、相続人になる権利を剥奪することです。
遺言書に相続人廃除を希望する旨が記載されていた場合、遺言執行者は家庭裁判所において申し立てを行います。
遺言執行者に選任された!断ることは可能?
遺言執行者は、未成年者や破産者以外であれば、基本的に誰でもなることができます。
もし、遺言執行者に選任された場合、その人は受けるまたは辞退するかの選択が可能です。
遺言執行者を辞退する場合は、相続人にその旨を告げます(告げずにいると承認されたものとみなされるため、必ず知らせましょう)。
伝え方は口頭でもかまいませんが、トラブルが発生した時に備えて、文書に残すことをお勧めいたします。
遺言執行者を選任する2つのメリット
遺言執行者なしでも遺言執行は可能です。ただし、遺言執行者を選任することによって以下のメリットが得られます。
遺言執行がスムーズに進みやすい
遺言執行者を選任しない遺言執行では、相続人全員が必要な作業や手続きを行わなければなりません。
例えば、不動産を引き継いだ相続人は相続登記をする必要がありますが、必要な書類を用意したり平日に時間を確保したりするなど手間がかかります。
遺言執行人は、相続登記の手続きを相続人に代わって行います。
もし不動産が遺贈された場合は、受遺者と遺言執行者だけで所有権転移の登記申請ができるようになり、相続人全員の協力を得る必要がなくなります。
相続人が勝手な行動をしづらくなる
遺言執行者がいた場合、相続人は遺言書に反して、勝手に財産を処分できなくなります。
仮に、相続人が勝手に不動産の登記を移したとしても、遺言執行の妨害行為とみなされてその登記は無効となります。
遺言執行者のまとめ
今回の記事では、遺言執行の主な流れから遺言執行者を選ぶメリットまで解説しました。
遺言の執行手続きをスムーズに行いたいのなら、適任者を遺言執行者に選ぶとよいでしょう。
さらに遺言執行者を司法書士などの専門家に依頼すると、より安心です。
遺言書による遺産分割においては、予想外のトラブルが発生することも少なくありません。
遺言執行者に任せられることは任せて、無事に遺産分割を済ませましょう。
ここまでで、今回のブログ「遺言執行の手続きの流れを解説!遺言執行者を選任するメリットも解説!」のテーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした!